自宅を買換え・売却する時に利用できる特例
自宅を買換えたり、売却する場合には、さまざまな税制面での特例が利用できる可能性があります。
特例を利用することで、売却にともなう税負担を軽減することが出来ますから、自宅を買換え又は売却する際には有効に活用しましょう。
ただし、それぞれの特例には、利用するにあたっての細かな適用要件がありますので、実際に取引を始めるまえに、自分がその特例を利用できるのかどうかについて、所轄税務署などへ確認をしておくようにしましょう。
自宅の買換え・売却時に利用可能な特例の種類
| 譲渡益が 発生 |
買換え なし |
所有期間 10年以下 |
3,000万円の特別控除 |
|---|---|---|---|
| 所有期間 10年超 |
3,000万円の特別控除及び軽減税率 | ||
| 買換え あり |
所有期間 10年以下 |
3,000万円の特別控除 | |
| 所有期間 10年超 |
3,000万円の特別控除及び軽減税率 または、 特定の居住用財産の買換え特例 |
| 譲渡損失が発生 | 買換え なし |
所有期間 5年超 |
譲渡損失の損益通算及び繰越控除 |
|---|---|---|---|
| 買換え あり |
所有期間 5年超 |
買換えに係る譲渡損失の通算及び繰越控除 |
※以下に、それぞれの税制に関する特例を掲載していますが、平成23年6月30日現在法令等に基づくものとしています。
3,000万円特別控除の特例
一定要件を満たすマイホームを売却する際に譲渡所得が発生した場合、その譲渡所得に対して課税(譲渡所得税)されることになりますが、この売却に対して一定の要件を満たしている場合には、その譲渡所得金額から3,000万円を控除することができます。
主な適用要件
1.居住用財産であること
2.居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末まで
の譲渡であること
3.譲渡先が親族ではないこと
4.住宅ローン控除の適用を受けていないこと
ケーススタディ(軽減税率と3,000万円の特別控除)
昭和51年6月に購入したマイホームを平成17年3月に8,000万円で売却しました。
購入時の取得費用は1,000万円、この度の売却にかかった譲渡費用は300万円です。
土地建物は夫婦それぞれ1/2ずつの持分になっています。
(1)譲渡所得を計算
8,000万円−(1,000万円+300万円)=6,700万円
(2)譲渡所得を夫婦の持分で按分
夫→6,700万円×1/2=3,350万円
妻→6,700万円×1/2=3,350万円
(3)夫婦それぞれに3,000万円の特別控除をする
夫→3,350万円−3,000万円=350万円
妻→3,350万円−3,000万円=350万円
(4)10年超所有なので軽減税率を適用
夫→350万円×14%=49万円(所得税・住民税の合計)
妻→350万円×14%=49万円(所得税・住民税の合計)
つまり、夫婦合計で98万円の税金がかかります。
軽減税率の特例
一定要件を満たし所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合で、譲渡所得が発生したとき、税額の計算に用いる税率を軽減することができます。
所有期間に応じた税率の違い
| 短期 | 長期 | |||
| 所有期間 | 5年 以下 |
5年超 10年以下 |
10年超 | |
| 譲渡所得6000万円以下の部分 | 譲渡所得6000万円超の部分 | |||
| 所得税 | 30% | 15% | 10% | 15% |
| 住民税 | 9% | 5% | 4% | 5% |
| 合計 | 39% | 20% | 14% | 20% |
特定の居住用財産の買換えの特例
個人が、売却の年の1月1日における所有期間が10年を超え、かつ居住期間が通算で10年以上のマイホームを平成23年12月31日までに売却し、代わりに新たなマイホームとして、一定要件(建物の床面積が50u以上(平成19年4月1日より面積上限としてあった「280u以下」は廃止されます)かつ土地の面積が500u以下など)を満たす買換え資産を購入する場合において
1.売却した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に新たな
マイホームを買い、
2.かつ、その買った年の翌年12月31日までの間に居住の用に供した
とき又は供する見込みであるとき
は、売却による収入金額のうち、買換え資産に充てられた部分に対して課税の繰り延べが認められます。
また、売却した価格(譲渡価格)より購入したマイホームの価格(取得価格)のほうが低い場合には、その差額についてのみ課税されます。
●譲渡所得が繰り延べされ、課税されない場合
譲渡資産の譲渡価格 <= 買換資産の取得価格
●差額部分についてのみ、課税される場合
譲渡資産の譲渡価格 > 買換資産の取得価格
なお、この特例と「3,000万円控除の特例」および「軽減税率」は併用できません。また、譲渡資産の譲渡に係る対価の額は2億円以下であることとされます。
ケーススタディ(特定の買換え特例)
昭和56年に2,000万円で購入(取得)した自宅を平成7年に4,000万円で売却し、その売却代金と自己資金として1,000万円を加えた5,000万円で新たにマイホームを購入します。
平成7年の売却時点では、2,000万円の譲渡所得が発生しているため、本来なら課税される部分となりますが、この特例を利用することによって次回、売却するときまで繰り越すことが可能になります。
【課税繰り延べのイメージ】

もちろん、平成7年の売却時点で発生した譲渡所得に対して3,000万円の特別控除を使い、課税なしとする場合も考えられますから、どちらが有利になるかを十分に検討する必要がります。
居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除特例
個人が、平成18年1月1日から平成23年12月31日までの間に売却の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホームの売却をした場合において、
1.売却した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に新たな
マイホームを買い、
2.かつ、その買った年の翌年12月31日までの間に居住の用に供した
とき又は供する見込みであるとき
は、そのマイホームの売却による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額に係るものとして一定の方法により計算した金額について、一定の要件の下で、「他の所得と損益通算する特例」及び売却の年の翌年以後3年内の各年分の総所得金額等の金額の計算上一定の方法により繰越控除する特例の適用を受けることができます。
これらの特例を受けるためには、新たなマイホームを買った年の年末又は繰越控除の特例の適用を受けようとする年の年末において新たなマイホームに係る住宅ローン等があるなど一定の要件を満たしている必要があります。
買換えの損失繰越と住宅ローン控除のイメージ
マイホームの買換えで2,500万円の損失
給与所得600万円(年収800万円)
| 年度 | 計算方法 | |
|---|---|---|
| 譲渡した年 | 損益通算 600万円−2,500万円=▲1,900万円 |
|
| 翌年以降 3年間 |
2年目 | 繰越控除 600万円−1,900万円=▲1,300万円 |
| 3年目 | 繰越控除 600万円−1,300万円=▲700万円 | |
| 4年目 | 繰越控除 600万円−700万円=▲100万円 | |
| 5年目 | @繰越控除は打ち切り A住宅ローン控除がスタート ただし、住宅ローン控除を受けられるのは 残り期間の5年間 |
|
居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
個人が、平成18年1月1日から平成23年12月31日までの間に、譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超える居住用のマイホームを売却した場合、
1.その人が売却に係る契約をした日の前日においてマイホームに住宅
ローンの残債が残っている
2.そのマイホームの譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額がある
には、その損失の金額のうち一定の金額について、他の所得と損益通算することができます。
また、他の所得と損益通算をしても控除しきれない特定居住用財産の譲渡損失の金額は、譲渡の年の翌年以後3年内の年に繰り越して控除することができます。
※住宅ローンの残債とは、返済期間が10年以上の返済期間をもつもの等をいいます。
売却の損失繰越のイメージ
自宅の売却にともなう損失
a.売却価格2,000万円、b.取得費3,400万円、c.譲渡費用100万円
住宅ローン残高3,000万円、給与所得600万円(年収800万円)
ステップ1.譲渡損失額の計算
2,000万円−(3,400万円+100万円)=▲1,500万円
ステップ2.特例の対象となる損失額を計算
@譲渡損失の金額・・・1,500万円
A売却価格を超える住宅ローン残高
・・・3,000万円−2,000万円=1,000万円
@とAを比較して少ない方の金額・・・1,000万円
ステップ3.他の所得と損益通算
| 年度 | 計算方法 | |
|---|---|---|
| 譲渡した年 | 損益通算 600万円−1,000万円=▲400万円 |
|
| 翌年以降 3年間 |
2年面 | 繰越控除 600万円−400万円=200万円 |
| 3年面 | 繰越控除は打ち切り | |
| 4年面 | 繰越控除は打ち切り | |
| 5年目 | 繰越控除の適用なし | |
