贈与税が係らないように親から資金提供を受ける
マイホーム購入の際、両親等から購入資金の一部としてお金を受け取る場合には、贈与税に注意をしなければなりません。
なぜなら、年間110万円を超える金額について親等からの贈与を受ければ、この金額を超えた部分について贈与税の課税関係が生じてしまうからです。
そこで、もし年間110万円を超えるような金額の贈与を受けるのであれば、以下のような贈与税対策を検討するとよいでしょう。
マイホーム購入資金の主な贈与税対策
| 方法 | 対 策 |
|---|---|
| あげる | @「相続時精算課税制度」を活用する A「1500万円の住宅取得等資金贈与の特例」を活用する |
| 貸す | 借用書を作成し、返済する |
| 出資する | 援助される金額に応じた共有持ち分を持つ |
※なお税制に関しては、平成21年12月22日に閣議決定された「平成22年度 税制改正大綱」に基づくものとします。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度とは、高齢者の持つ資産を次世代へ円滑に移転させる観点から、平成15年に新たに創設された制度です。
この制度の特徴は、一定の控除額を設けることで受け取る側が贈与税の負担をすることなく、財産を得ることが容易になった点です。
なお、この制度を使えば、すべての税金負担を考慮せず、親から子へ財産を移転できるというものではありません。
その名の通り、贈与の時点ではなく、相続の時点で生前贈与財産に対して課税をするというものなのです。
つまり、相続税の課税対象となるわけです。
ただし、相続税には、贈与税と違って、もともと高額な基礎控除枠(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)が設けられていますから、ある程度までの相続財産であれば、相続税も発生しない可能性が高いのです。
結果的に贈与税も相続税も課税なしで、親から子へ生前中に財産が移転できる可能性が十分に考えられるのです。
相続時精算課税制度の主な概要
| 相続時精算課税制度(本則) | 住宅取得資金の特例 | |
| 非課税枠 | 2,500万円まで | 2,500万円まで |
| 贈与税の計算 | 非課税枠を超えた部分に一律20% | |
| 贈与する人 | 65歳以上の父母
※贈与年の1月1日時点 |
父母 ※年齢要件がありません。 |
| 贈与を受ける人 | 20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人含む) ※贈与年の1月1日時点 |
|
| 贈与を受ける人の収入条件 | なし | |
| 対象となる資金使途 | 制限なし | 居住用住宅の購入資金 住宅の増改築資金 |
| 利用回数 | 限度額内なら複数年にわたって 何度でも贈与が可能 |
|
| 対象となる資産 | 種類に制限なし | 金銭のみ |
| 申告義務 | 親が死亡するまで受けた贈与全部 | |
| 適用期間 | − | 2011年12月31日まで |
相続時精算課税制度の仕組み
親から3,000万円の贈与を、相続時精算課税制度を使って、受けた。
その後、他にも相続財産を持つ親が亡くなった場合の相続税は?

算出相続税額 > すでに支払い済みの贈与税額なら…差額を納税
算出相続税額 < すでに支払い済みの贈与税額なら…差額を還付
つまり、死亡時本来の相続財産と贈与済み財産の合計が、基礎控除額以下であれば、結果として相続税はかかりませんね。
相続時精算課税制度を利用する上での注意点
(1)暦年控除(110万円までの贈与税非課税枠)と相続時精算課税制度は選択適用となる
この制度は、父母ごとに選択することができますが、暦年控除(年間110万円までの贈与は非課税)と併用することはできません。
たとえば、父からの贈与は相続時精算課税制度を利用し、母からの贈与には暦年控除を適用するといった使い方は可能です。
また、この制度を一度選択すると、対象となる贈与者が死亡するまで、その人との間の贈与はすべて相続時精算課税制度によって処理されることになります。
たとえば、前述の例で言うと、父からの贈与は、今後、父が死亡するまで、すべて相続時精算課税制度の中で処理されるということです。
(2)「住宅取得資金の贈与の特例」を受けた人は、一定期間、相続時精算課税制度を選択できない。
すでに平成17年12月31日で廃止されていますが、「住宅取得資金の贈与の特例」(=住宅の取得資金に限り550万円までの贈与は非課税となる制度)の適用を受けている人は、以後4年間、相続時精算課税制度を選択することができません。
1500万円の住宅取得等資金贈与の特例
「1500万円の住宅取得等資金贈与の特例」とは、100年に1度の経済危機と言われる中、平成21年に創設された「500万円の住宅取得等資金贈与の特例」の非課税枠を拡大した制度で、20歳以上の人が、住宅取得資金として直系尊属から資金の贈与を受けた場合、1500万円までを非課税とする制度です。
ただし、平成22年度の改正では、以下の要件が追加されましたので、注意してください。
- 受贈者(もらう人)の年収が2,000万円以下であること
- 平成22年中の非課税枠は1,500万円まで
- 平成23年中の非課税枠は1,000万円まで
この制度の特徴は、通常にある贈与税の基礎控除額(年間110万円)や相続時精算課税制度とは別に利用できる点です。
つまり、住宅取得資金としての贈与であれば、最大で1,500万円+110万円の1,610万円(平成22年)まで、非課税となるのです。
また、「相続時精算課税制度」との重複適用も可能であるため、住宅取得資金に限った場合、最大で1,500万円+2,500万円の4,000万円(平成22年)まで、贈与税が非課税になります。
ただし、この制度は平成21年1月1日から平成23年12月31日までに贈与を受けた者が対象となる時限措置ですから、注意が必要ですね。
贈与税に係る他の制度との重複適用
| 非課税額(平成22年の場合) | |
| 暦年課税制度を適用する場合 | 1,500万円+110万円=1,610万円 |
| 相続時精算課税制度を適用する場合 | 1,500万円+2,500万円=4,000万円 |
1,500万円の住宅取得等資金贈与の特例の主な概要
- 贈与者は、受贈者の直系尊属(父母、祖父母等)に限る。
- 受贈者は、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上で、かつ年収が2,000万円以下であること。
- 住宅用家屋等を取得した日の属する年の翌年3月15日までに贈与を受けた資金を新築あるいは取得等に供したもの。
- 原則として、住宅用家屋等を取得した日の属する年の翌年3月15日までに居住の用に供したもの。
- 贈与税の期限内申告書に特例の適用を受けようとする旨を記載し、かつ、一定の書類を添付した上で申告すること。
親子間の貸し借り
親子間でお金の貸し借りをする場合、身内だからこそ余計に慎重な対応をしなければなりません。
「ある時払いの催促なし」では、実質の贈与とみなされて、贈与税の課税(みなし贈与)が生じる可能性が十分にあります。
親子間の貸し借りで注意する点
| 対策 | |
| 契約書 | 金銭消費貸借契約書(借用書)を作成する |
| 利息 | 住宅ローン金利と同程度に設定する ※概ね1%以上 |
| 返済期間 | 親の年齢を考慮し、完済時の親の年齢が80歳程度になるまでとする |
| 返済方法 | 毎月、決まった日に振込にて返済する ※親名義の通帳を預り、「預入」では返済の証拠が残らない |
| 金額 | 他の借入(住宅ローン)を考慮して、年収からみた返済可能な範囲の金額にする |
親子で共有名義
親がお金を出す分に見合う共有持分を持つことでも、贈与税対策としては有効です。
ただし、親の共有持分は、その親が亡くなった時に相続財産となり、遺産分割の対象となってしまいますから、兄弟姉妹など他に相続人がいるような場合には注意が必要です。
親と共有状態にある相続人が、当たり前に相続できる…とは限りませんからね。
そこで、相続人が複数いるような場合には、親が遺言書を書いておいたり、他の相続人に対して死亡保険金などで財産の相続ができるようにしておくなど、生前の遺産分割対策を講じておけば、“争族”防止に役立つでしょう。

