ライフステージごとに住宅ローンの借り方を考えよう
住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、いくらを何パーセントの金利で借りるのか?はとても重要なことですが、これと同じように、どのように返していくのか?を事前にある程度考えておくことも大切なのです。
金利が異なることで家計へ与える負担割合が変化することばかりに気を取られていると、住宅ローンの金利タイプ別にあるリスクに気がつかず、取り返しのつかないことにもなりかねませんからね。
金利とリスクは常に相反関係にありますから、資金計画を立てるときには、常にこのバランスを考えてプランニングすることが肝心です。(つまり、借入金利が低いということは、それだけ将来の家計に対するリスクが高いということです!)
この金利とリスクのバランスを取る上で効果的な借り方としては、異なる性格を持つ住宅ローンを組み合わせるという方法があります。
このページでは、各ライフステージ別に、モデルとなる借り方プランをご紹介しておきますので、よかったら参考にしてみてください。
なお、これからマイホームを購入しようとする世代の方々は、特に自分が60歳から65歳になったとき、どうやって暮らしを維持していくのかを真剣に考えておくことが大切です。
ご存知の通り、現在の公的年金制度では、男性の場合で昭和36年4月2日以降、女性の場合で昭和41年4月2日以降に生まれた人は、老齢厚生年金及び老齢基礎年金が65歳からの支給になりますから、一般的な定年退職年齢(60歳)から65歳までの5年間は、それまでの貯蓄を取り崩しながらの生活を強いられるわけです。
もし、この間に住宅ローンの返済がたっぷりと残っていれば、暮らしは相当に厳しいものになると思われますから、借りる時に、返し方を考えておくというのは、当たり前のことですが、とっても大切なことなのです。
新婚夫婦またはDINKS
夫婦共稼ぎで子供のいない夫婦の場合、世帯としての収入が高く、家計に対して相当なゆとりを持っているケースが多く見受けられます。
このような場合には、金利変動に伴うリスクをある程度多めにとっても家計が破綻する恐れが少ないものです。したがって、まずは金利の水準を優先にして住宅ローンを選択しても良いでしょう。
例えば、キャンペーンの対象となりやすい短期間の固定金利選択型を選ぶことで、金利負担と毎回の返済負担を極力軽減すると共に、固定期間に合わせた積極的な繰上げ返済を行う方法が考えられます。また、夫婦共稼ぎで子供がいなければ、お互いに高額な所得税を納めている場合がほとんどでしょうから、住宅ローン控除による所得税の還付を二人とも受けられるよう、ペアローンの選択も効果的です。
なお、新婚夫婦で「将来は子供を欲しいと思っているため、もし子供が生まれれば妻は休職もしくは退職する予定がある」というような場合は、現状における家計を基準に資金計画を立てるわけにはいきません。
あくまでも将来の家計を基準にする必要があります。
そこで、全体の借入額の3分の2程度を世帯主(夫)、3分の1を配偶者(妻)というように債務バランスを変え、世帯主の方は中長期の固定型で将来のリスクを軽減させ、配偶者の方は早期の完済を前提とした商品を利用して金利負担が軽い分、積極的な繰上げ返済を行い、早期に元本を減らすような返済計画を立てるのも良いでしょう。
Case1:マンションを購入
夫28歳,妻26歳(将来は子供が欲しい),世帯年収700万円(夫400万円、妻300万円)
購入価格3,000万円、頭金300万円
| ローンの種類 | 借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月返済額 | |
| 夫 | 10年固定 | 2,000 | 2.1% | 35年 | 6万7,284 |
| 妻 | 全期間固定 | 1,000 | 2.55% | 15年 | 6万6,915 |
| 計 | 3,000万円 | − | − | 13万4,199 |
※実際にある住宅ローンの借入条件(金利など)とは異なります。
30歳代(妻は専業主婦)
結婚して子供が生まれるなどしたため、妻が専業主婦になっているような家庭では、今後の教育費負担を考えると、あまり大きな金利変動リスクを負うことは避けたほうが懸命でしょう。
つまり、返済途中で金利が変わらない固定金利型の住宅ローンを軸に組み立てることになります。
妻が専業主婦とはいえ、子供も小さくまだ家計にゆとりがあるような場合は、融資額の3分の2を全期間固定金利型の住宅ローンとし、残りを金利面で有利な短期間の固定金利選択型の住宅ローンにして、当面の家計への負担を軽減しておき、積極的な繰上げ返済を行うといった方法が考えられます。
繰上げ返済は、利息が多く元金がほとんど減らない借入当初に行うほうが、大きな効果を見込めますから、最初の固定期間が満了する時期をひとつの目安に繰り上げ資金の準備をするとよいでしょう。
具体的には、金利の変動があまり見られない常態の時は、借入残高も多く金利面で不利な全期間固定金利型の住宅ローンに対して繰上げ返済を行い、金利が上昇傾向になれば、金利変動リスクのある固定金利選択型の住宅ローンに対して繰上げ返済を行います。
状況に応じて、上手く繰り上げ返済を使い分けるのが、こうした二本立てで住宅ローンを組む時のポイントとなります。
Case2:マンションを購入
夫36歳,妻34歳,子2人(5歳、2歳),年収700万円
購入価格3,500万円、頭金500万円
| ローンの種類 | 借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月返済額 | |
| 夫 | フラット35 | 2,000 | 3.2% | 35年 | 7万9,220 |
| 夫 | 5年固定 | 1,000 | 1.9% | 35年 | 3万2,616 |
| 計 | 3,000万円 | − | − | 11万1,836 |
※実際にある住宅ローンの借入条件(金利など)とは異なります。
30歳代(夫婦共稼)
子供がいても夫婦が共稼ぎでいるような場合は、妻が専業主婦の家庭に比べ、ある程度の金利変動リスクを取れるので、金利面で有利な商品でありながら、ある程度リスク管理のできる住宅ローンを中心に組み立てると良いでしょう。
配偶者(妻)がどの程度仕事に対して積極的に取り組んでいるのかにもよりますが、例えば、全体の借入金額の3分の2を夫が中長期の固定金利選択型の住宅ローンで借り、妻は残りの分を金利面で有利な変動金利型にする方法が考えられます。
借入金額の大半を占める部分が固定金利選択型になることで、金利面での恩恵を大きく受けながら、万一金利が上昇した場合でも固定期間中は家計に大きな影響を与えずに済むというリスク管理がされます。
また、変動金利型についても、返済額そのものは5年間一定であること、そして、もし大幅に金利が上昇したとしても、今までの返済額から最大で1.25倍までしか上昇しないといった制限が設けられていますから、こうしたリスク管理能力も極端に家計が苦しくなることを避ける対策になります。
子供の教育費負担を考えながら、適度に繰り上げ返済を行うようにしますが、前項同様に、金利の状態を見て、どちらの住宅ローンへ優先的に繰り上げ返済をすればいいのかを判断してください。
Case3:一戸建てを購入
夫36歳,妻34歳,子2人(5歳、2歳),世帯年収1,000万円(夫600万円、妻400万円)
購入価格4,500万円、頭金500万円
| ローンの種類 | 借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月返済額 | |
| 夫 | 10年固定 | 2,500 | 2.1% | 35年 | 8万4,105 |
| 妻 | 変動金利 | 1,500 | 1.475% | 35年 | 4万5,745 |
| 計 | 4,000万円 | − | − | 12万9,850 |
※実際にある住宅ローンの借入条件(金利など)とは異なります。
40歳代
子供の教育費のピークを迎える時期が10年以内に迫っている年代の家族が、金利変動リスクを大きく取るのは大変危険な賭けをするようなものです。
子供の教育費が一段落するまでの期間を計算し、その期間を乗り越えられるような固定金利選択型の住宅ローンを軸に利用するか、あるいは、返済負担が他の商品に比べれば重くなりますが、全期間固定金利型の住宅ローンを軸に組み立てたほうが懸命でしょう。
ただし、出来ることならば毎月の返済額は抑えておきたいところですから、やはり全体の借入額の3分の2を固定金利型の住宅ローンとし、残りを変動金利型の住宅ローンにする方法が考えられます。
借り入れ当初は、経済的に損な借り方と思えるかもしれませんが、リスクとのバランスを考えれば、決して損ではないはずです。また、子供の教育費が一段落した時点で、固定金利型の住宅ローンを、変動金利型や短期間の固定金利選択型の住宅ローンへ借り換えを行えば、総支払額は随分と少なく出来るはずですから、無駄な返済方法ではないと思います。
つまり、最初から焦って積極的な返済をするばかりが、正論ではないのです。
時には、我慢して前半を抑えぎみに返済し、子供への負担がなくなった時に一気にスパートをかけて完済というゴールを目指すような資金計画も有効な手段なのです。
Case4:一戸建てを購入
夫43歳,妻41歳,子2人(12歳、10歳),年収800万円
購入価格5,500万円、頭金1,000万円
| ローンの種類 | 借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月返済額 | |
| 夫 | 10年固定 | 3,000 | 2.1% | 35年 | 10万0,926 |
| 夫 | 変動金利 | 1,500 | 1.475% | 35年 | 4万5,745 |
| 計 | 4,500万円 | − | − | 14万6,671 |
※実際にある住宅ローンの借入条件(金利など)とは異なります。

