住宅ローンの審査基準である人的審査と物的審査とは
住宅ローンの審査基準は、「人的審査」と「物的審査」の2つに大別することができます。
「人的審査」では、借入を申し込む人に対する審査で、勤務状況や年収、健康状態、借金の有無などを調べることで、数千万円にもおよぶ住宅ローンの返済を、最後まで担っていけるかどうかを審査します。
「物的審査」では、住宅ローンを融資する際に担保として銀行が抵当権を設定する不動産について調べることで、万一、申込人が返済不能に陥った場合、抵当権を実行することで融資金の回収ができるか否かを審査します。
そして、当然に両方の審査基準をクリアーしなければ、融資が了承されることはありません。
住宅ローンへ申込む際には、事前にこれらの審査内容を十分に検証し、問題があると思われる点については、しっかりと対策を講じてから申込むようにしましょう。
住宅ローンを借りる人の審査(人的審査)
公的融資と民間融資では、審査基準が異なりますが、ここでは厳しいと言われる民間融資(主に都市銀行)の審査基準について解説します。
もっとも特徴的な部分は、他の借入に対する審査です。
普段の買い物で使うクレジットカードや、大きな買い物をした時の分割払い(リボ払い)、消費者金融などからのキャッシングは、個人情報として、さまざまな情報機関(信用情報センター機関)に登録されることになります。
このデータは、住宅ローン融資の可否を判断する際のひとつの目安となっています。
一般的な審査基準を見てみると、クレジットカードなどによる翌月一回払いは審査に影響することはありません。
しかし、分割払いやリボ払いをしている場合は、住宅ローンの融資可能額に影響を及ぼします。
キャッシングに関しては、利用そのものが審査に大きく影響しますから、金額の大小にかかわらず、できるだけ住宅ローンの申込み前に全額を返済しておいたほうが懸命ですね。
場合によってはキャッシングカードの解約を融資条件とされることもありますので、しっかりと対策を講じておきましょう。
また、キャッシングなどを完済したとしても、すぐにその内容が個人情報登録機関に反映されるとは限りません。(通常は、タイムラグが相当にあります)したがって、完済あるいはカード解約した場合には、証明書等を金融機関に発行してもらうなどの準備をしておくとよいでしょう。
なお、最近では、大手都市銀行も消費者金融と提携して、キャッシングを行っているため、昔ほど審査が厳しくないように思われますが、それでも、自分が住宅ローンを申し込む銀行以外のキャッシングについては、相変わらず厳しいようですから、注意が必要ですよ。
主な審査基準
| 申し込み時年齢 | 20歳以上で、定期的な収入がある人。 |
|---|---|
| 完済時年齢 | 金融機関により異なりますが、80歳までとしているのが平均的 |
| 勤務先 | 会社の規模等を審査。親族企業に勤めている場合は、会社も審査の対象とされ、決算書が必要書類に指定される場合もある。 |
| 業種 | 安定職種か不安定職種(または危険職種)かなどを審査。 |
| 雇用形態 | 給与のみか、歩合給制かを審査。勤めていても、源泉徴収票が出ない場合は、自営業者として審査される。 また、会社役員(経営者)は自営業者としての扱いとほぼ同じで、本人のみならず、会社の経営状況も審査対象。 |
| 勤続年数 | 原則は3年以上。同業種での転職(ヘッドハンティングなど)は審査のうえで多少多めに見てくれることもある。ただし、自己都合退社の場合は厳しくなる。 |
| 年収 | 返済能力がどの程度あるのかを審査。原則としては200万円以上だが、年収によって返済可能負担率が異なる。 一般的な例としては、 (1)年収300万円未満 返済比率25%以内 (2)年収400万円未満 返済比率30%以内 (3)年収400万円以上 返済比率35%以内 自営業者の場合は3期分の収入が審査の対象。3期の平均値としたり、直近の収入にしたり、最低時の収入にしたりと、銀行によって審査の基準が異なる。 |
| 資産状況(預金等) | 頭金や諸費用に充てるための自己資金がどの程度あるのかを審査。 |
| 借入状況 | クレジット・消費者金融でのキャッシングや、自動車ローンなどを個人信用調査機関を通して審査。配偶者が収入合算などにより連帯債務者になる場合は、配偶者も住宅ローンの審査対象となるので注意。 |
| 社会保険の加入状況 | 退職後の返済能力を審査。退職後も住宅ローンの返済が続くことを前提に融資の審査をするため、原則として社会保険(国民年金)へ加入が必要。 |
| 健康状態 | 団体信用生命保険への加入が出来ることが貸し出し要件になるので、告知扱いの生命保険加入審査がある。 |
住宅ローンを使って買う住宅の審査(物的審査)
住宅ローンの担保として抵当権を設定する住宅の審査です。
これは、万一、住宅ローンの返済が出来なくなった時に、銀行が担保物件を売却(=競売にかける)して住宅ローンの返済に充てるためです。
日本には建築基準法という法律がありますから、原則として、この法律に違反している住宅には住宅ローンを融資しません。
現在販売されている新築物件のほとんどは適法ですが、昭和初期からバブル期頃までに建築された建物には違反建築物が多く、既存不適格となっているケースが多々見られます。
こういった住宅を購入するために住宅ローンを申し込んでも、違反の割合が審査基準値以内でなければ住宅ローンを借りることができません。
また、中古住宅の場合は、新築されてからの経過年数も審査の対象となりますから、購入を検討する際には十分注意が必要になってきます。
主な審査基準
| 建築基準法 | 現行の建築基準法に適合しているかどうかを審査。中古住宅の場合は、建ぺい率や容積率において多少違反していても、銀行の規定にある許容範囲内であれば融資される場合がある。ただし、新築の場合は、少しでも違反建築の場合は融資対象外。 |
|---|---|
| 経過年数 | 中古住宅を購入するための住宅ローンの場合、銀行の定める耐用年数から、経過年数を差し引いた残存年数が融資の返済期間の上限となる審査方法がある。 |
| 土地の権利 | 「所有権」の場合と「借地」の場合で、融資可能額の審査をする際の担保掛目が変わる。そもそも「借地」の場合は融資を行わない銀行もあるので、注意が必要。 |
| 価格 | 購入価格が市場価格と比較して妥当なものかどうかを審査。オーバーローン(=住宅価格を超える額の融資)を申し込むためのネットアップ(価格操作)を防ぐため。 |
なお、借地権付き住宅の場合、そもそも住宅ローンの融資を行わないといった金融機関が多くありますから、注意が必要です。
もし、借地物件でも融資を受けられるとした場合でも、地主の融資に関する承諾書(借地である土地に抵当権を設定するとか、土地の賃借権に質権を設定するなど、地主にとってはなかなか受け入れがたい内容の承諾書です)を取り付けなければならないなど、そのハードルはさらに高くなると認識しておきましょう。
