住宅ローンを借り換えた場合の住宅ローン控除
住宅ローン控除は、あらたに取得するマイホームに対して適用される制度ですから、原則としては借り換えをする住宅ローンに関しての適用がありません。
ただし、次の要件を満たせば、借り替えた住宅ローンについても引き続き住宅ローン控除を受けることが可能になります。
(1)新しく借りる住宅ローンが、当初の住宅ローンの返済に充てられることが明らかなこと。
(2)新しい住宅ローンが10年以上の借入金であるなど、本来の適用要件を満たしていることです。
こうした適用要件を満たせば、たとえ住宅ローンの借り換えであっても、引き続き住宅ローン控除を受けることができるのです。
ところで、住宅ローン控除の適用期間についてですが、これはいくら借り換えをして新たに住宅ローンを組みなおしたと言っても、期間延長されるわけではありません。
最初に住宅ローン控除を受けた時点から起算して10年間という適用期間に変わりはないのです。
買換えによる損失と住宅ローン控除
マイホームを買換えする際、損失が発生するケースは珍しいものではありません。
特にマンションなどは、多くの地域で、購入時点での価格を下回って売却せざるを得ない場合がほとんどでしょう。
こういった場合、その損失を他の所得(給与など)と損益通算し、さらに一度で通算しきれない部分は翌年以降も繰越て通算できるという税制面での優遇制度の適用が考えられます。
これを「居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除制度」と言います。
この制度を最大限に使うと、買い替えをした年と翌年以降3年間は所得税からの還付を受けられることになります。
そして、この制度をつかって買換えたマイホームに対する住宅ローン控除は、買換えによって発生した損失額を他の所得と損益通算していった結果、所得税が発生することになる年から適用が始まります。
ここで勘違いしないようにしていただきたい点は、新たに購入するマイホームに対する住宅ローン控除の適用期間は、買換えをした時点からカウントダウンされているということです。
つまり、買換えによる優遇税制の適用が終了してから10年間ではないのです。
買換えの損失繰越と住宅ローン控除のイメージ
マイホームの買換えで2,500万円の損失
給与所得600万円(年収800万円)
| 年度 | 計算方法 | |
|---|---|---|
| 譲渡した年 | 損益通算 600万円−2,500万円=▲1,900万円 |
|
| 翌年以降 3年間 |
2年目 | 繰越控除 600万円−1,900万円=▲1,300万円 |
| 3年目 | 繰越控除 600万円−1,300万円=▲700万円 | |
| 4年目 | 繰越控除 600万円−700万円=▲100万円 | |
| 5年目 | @繰越控除は打ち切り A住宅ローン控除がスタート ただし、住宅ローン控除を受けられるのは 残り期間の5年間 |
|
離婚したあとの住宅ローン控除
離婚による財産分割として共有者(離婚の相手方)の持分と相手名義の住宅ローンを引き取るケースがあります。
例えば、ペアローンとして夫婦がそれぞれ住宅ローンを借り、さらに持分もそれぞれ持っていたとします。
離婚をするので、片方が相手方の所有権持分と住宅ローンを引き受けることになった場合、引き受ける側は本来の自分名義である住宅ローンと、新たに引き受ける住宅ローンの二本の住宅ローンを抱えることになります。
ここで注意したいのが、住宅ローン控除の扱いです。
今までは、すでに住宅ローン控除を受けている状態で離婚した場合、新たに共有持分を取得するために借りる住宅ローンに対して住宅ローン控除を受けるのか、それとも今まで自分が受けていた控除を継続するかの選択を迫られることになっていました。
Case1:従来の住宅ローン控除を継続する場合

Case2:新たな住宅ローン控除を受けるる場合

なぜ、このような選択を強いられていたのか?というと、離婚に伴う相手方の持分買受の場合、特定親族からの買受けではなく、第三者からの買受けとみなされ、共有持分の追加取得であっても住宅ローン控除が適用できるものの、「自分がすでに適用を受けている住宅ローン控除と、追加取得した家の持分にかかる控除との重複適用は認められない」という当局の見解があったためです。
つまり、もともと自分名義だった住宅と、離婚によって取得した住宅の「2つの家」を持っているもの…とみなし、それぞれを取得するための住宅ローンについては、いずれか一方にしか住宅ローン控除は認めないよ!といった考え方です。
でも、実際には、離婚によって財産分与を受けた住宅に、自分名義の住宅ローンを2本借りている状態にあるわけですから、ちょっと納得しずらい感も否めませんよね。
事実、国税不服審判所の裁決では、このような場合「住宅を2つ持っていることにはならない」 といった判決が出されています。
これにより、平成21年2月、国税庁は「当初から保有していた共有持分と追加取得した共有持分のいずれについても、住宅借入金等特別控除が適用されるよう取扱いを改めることとした」と発表しました 。
つまり、ようやく追加取得分を含めた全部の持分に対して住宅ローン控除が適用されることになったのです。
また、こうした国税庁の取扱いが改められたことにより、過去5年分の所得税についても遡って減額を受けられる可能性がありますので、離婚による財産分与として共有者(離婚の相手方)の持分を譲り受けた方は税務署へ相談されたほうがいいですね。
