今までの住宅ローン金利の推移
住宅ローンの金利は、その時々の景気に大きく左右されてきました。
公的融資の代表的なものとして住宅金融公庫の金利変動の推移を見ると、昭和61年頃の円高不況から平成景気に移行する時点では、基準金利が4.2%でしたが、バブル景気の到来によって5.5%まで上昇しています。
その後、バブル経済が崩壊してからはジワジワと下降基調をつづけ、平成10年に2%まで下落したのが金利の底となっています。
一方、都市銀行の住宅ローン(変動金利)を見てみると、金利の動きはもう少し激しくなります。
昭和の時代は概ね公庫金利より1%高い程度の水準だったのが、平成に年号が変わると大きく乖離し始めます。平成2年当時、公庫融資の金利が5.4%前後だったのに対して、都市銀行の金利は最高8.5%という高水準を記録しています。
その後、バブル経済が崩壊してからしばらくが経過した平成5年になって、都市銀行もようやく公庫と同水準までに金利が下がりました。
そして、2%台の長期的な低金利時代は、平成7年から始まっています。
つまり、もう10年以上も低金利時代が続いていることになるのですね。
その為、住宅ローンでは1%〜2%台の金利水準を当たり前のように感じている人も多くいるかもしれませんが、冷静に今までの金利動向を見ると、過去20年間にわたる都市銀行の変動金利は平均で3%〜4%の間なのです。
実際に、「いざなぎ景気」を超えたと言われる、平成20年9月までを見ると、ジワジワと変動金利が3%に向かって上昇していましたからね。
まぁ、幸い?にも、平成20年10月に勃発した“リーマンショック”によって、再び金利は下落基調となり、超低金利時代へと再突入した感がありますが…。
つまり、今の住宅ローン金利の水準は、正常な経済活動を前提にすると、あきらかに低すぎると言えます。
近い将来、いわゆる「平成のバブル景気」が訪れることは考えにくいことですが、今後の景気動向によって再び住宅ローン金利が4%台になることは、十分に考えられることだと思います。
また、このまま景気が回復せず、財政赤字が膨らめば、国債の下落によって長期金利が上昇し、住宅ローン金利に悪影響を及ぼすといったことも、今後は注意していかなければなりません。
これだけ低金利が続いている今でも、多くの都市銀行が貸出の際の審査金利を4%と設定しているのは、こうした将来に向けた金利上昇を裏付けることになっているのかもしれませんね・・・。
住宅ローンの金利推移
《S62.1.〜H10.12.》
《H11.1.〜H21.12.》

※変動金利は都市銀行の金利を参考としています。
※住宅金融公庫の金利は基準金利を参考としています。
※フラット35は取扱金融機関によって金利が異なるため、以下の金利を参考にしています。
@07年9月まで・・・平均金利
A07年10月〜08年1月まで・・・返済期間21年以上の平均金利
B08年2月〜08年11月まで・・・返済期間21年以上の最高金利
C08年12月以降・・・返済期間21年以上の最多金利
金利変動の仕組みを知っておこう
住宅ローンの金利は経済の影響を受けるということを既に金利変動の推移からご理解いただけたと思いますが、もう少し、金利の仕組みについて見ておきたいことがあります。
ちょっと専門的な言葉を使わざるを得ないのですが、これらの言葉は多様化する住宅ローンから最適な商品を選ぶ上で本当に重要なキーワードになりますから、是非、この機会に覚えておいて欲しいと思います。
まず、住宅ローンの基本となる金利水準は二つあります。
(1)長期プライムレート
(2)短期プライムレート
この言葉が重要なキーワードです。
長期プライムレートとは融資期間が1年を超える(長期貸付)貸出に適用されるレートで、長期国債の利回り変動にほぼ連動するような形でその都度決定されています。
短期プライムレートとは、融資期間1年以内の融資に適用される金利で、銀行ごとに決まっています。また、このレートには面白い性格があり、日銀の誘導目標である「無担保コール翌日もの」にほぼ連動した動きを示しています。
では、これらのレートと実際に借りる住宅ローンとの関係を見てみると、フラット35などに見られる固定金利型の住宅ローンは、概ね「10年国債」の利回りと同じような動きを見せています。
変動金利型の住宅ローンでは、市場金利の状況に対応する性質が強くなっている「短期プライムレート」を基に住宅ローンの融資金利を設定しているの金融機関が多く見受けられます。なお、この「短期プライムレート」に1%上乗せしたものが、概ねの貸し出し金利となります。
ちなみに、財政悪化に伴い国債の格付けが下がった時、真っ先に反応したのは、長プラ連動型の住宅ローンです。国債の価格が下がり、金利が上昇したんですね。一方で、短プラ連動型の住宅ローンには金利変動が起こりませんでした。
このことから見えてくるのは、住宅ローン金利の動きが、必ずしも景気の状態と一致しない場合があるということです。
国の財政が正常な状態であれば、景気の回復と共に、長期金利が上昇するものですが、景気が悪く、政府が積極的な財政出動をし、赤字国債を乱発すれば、国債価格が暴落し、長期金利が上昇するという、住宅ローン利用者にとって最悪の事態を招きかねないということを理解しておくことが大切ですね。
住宅ローンは金利の基となるレートによって商品ごとに動きが変わる仕組みを理解した上で、「10年国債」や「無担保コール翌日もの」の動きを観察していれば、金利のトレンドがある程度把握できるかもしれませんよ。

