不動産の表示と登記簿に記録された事項
不動産売買契約書にある「不動産の表示」では、私道等を含め、売買の対象となるすべての不動産に関する内容が一覧できるようになります。
もし、建物において未登記部分などがあれば、売主に登記をしてもらうのか否かを確認しましょう。
不動産登記簿とは、土地と建物それぞれにあり、これから買う不動産の履歴書のようなものですから、過去に誰が所有し、どのような権利関係だったのかがわかります。
また安全な取引を行う上で欠かせない資料となりますので、内容をよく理解しておきましょう。
【表題部】
売買の対象となる不動産の所在や地番等の表示が記録されています。
【甲区】
不動産の「所有権」に関することが記録されています。
【乙区】
「所有権以外の権利」に関することが記録されていいます。
代表的なものとしては「抵当権」があります。
権利関係のチェックポイント
1.所有権移転と同時にその他の権利がすべて抹消されるか?
2.権利書記載の物件が、全て売買対象になっているか?
3.賃借人(占有者)はいる場合、その対応方法は明確か?
不動産登記簿に記録された所有者と、真の所有者(売主)が一致しているか否かを必ず確認することが大切です。転売の場合などでは、登記簿上の所有者と売主が一致しない場合が珍しくないのです。
この場合、売主としての地位を証明する書類(すでに購入済みであることを証する売買契約書など)を確認しましょう。
また、売買価格以上の債権額が抵当権として設定されている場合(債務超過)には、確実にその抵当権が買主への所有権移転と同時に抹消できるのか否かを検討する必要があります。
このような場合には、買主が契約時に支払うべき手付金を保留するなど、買主のリスクを軽減できる対策を講じてもらいましょう。
不動産登記簿には、一般的に「土地や建物の賃借権」の登記がされないものです。賃借権とは、他人に不動産を貸した時に発生する権利ですが、この権利がある状態では、いくら所有権を得ても、自由にその不動産を使用することが出来なくなってしまう恐れがあります。
もし、購入する住宅に売主とは関係のない第三者(占有者)が暮らしているとしたら、たとえ賃借権の登記がされていなくても、その占有者の地位がどのようになるのかを確認しておく必要があります。
占有者を引き継ぐ場合も、退去させる場合も、必ず書面で約束しておくのが原則です。
土地の面積と境界の明示
不動産の土地面積を表す方法として、「公簿面積」と「実測面積」があります。
不動産売買契約の対象となる面積はどちらを基準にするのかで、売買価格の清算が発生するかしないかなど、取引方法が変わることがあります。
また、過去にほとんど取引されていない土地の場合、登記簿面積と実測面積とに大きな誤差がある場合がありますので、こうした土地の売買をする場合は実測売買(清算型)にしたほうがいいでしょう。
面積・境界関係のチェックポイント
1.公簿面積と実測面積とでどの程度の誤差があるか?
2.境界票や境界石の設置はあるのか?
ない場合は売主が設置して境界の確定をしてくれるか?
測量を行わない登記簿面積に基づく「公簿売買」の場合でも、売主は買主に対して「敷地境界の明示義務」(ただし、売主が敷地境界と認識しているものを明示する程度ですが…)がありますから、必ず実施してもらうことが肝心です。
ごくまれに、『これは公簿売買だから、境界の明示義務はありません・・・』という売主さんもいますが、これは大きな間違いです!
もし、境界の明示が明確に行われなかったら、いくら公簿売買とはいえ、後日、売主の負担で測量をしてもらうなどして、購入後にトラブルが起きないような対策をとる必要がありますね。
また、対象となる不動産に越境物がある場合には、そのまま売主から引き継ぐのか、それとも越境状態を解消するのかを確認しますが、なるべくなら所有権移転までに越境状態を解消してもらうよう対策を講じるほうが無難でしょうね。
契約の解除に関する事項
契約の解除に関係する条文には、万一、売主買主間でトラブルが発生するなどして、契約の解除を行うことになった場合の対処法が明記されています。重要な部分ですからよく理解しておきましょう。
契約を解除しても手付金が返還される主なケース
(1)クーリング・オフ
売主が不動産業者の場合、事務所等の一定の場所以外で行われた契約は、契約の日から8日以内であれば無条件で契約の解除が可能です。中古住宅のような売主買主双方が個人である売買の場合、クーリングオフの適用はありません。
(2)売主による債務不履行
建物の完成予定日が極端にずれ込み入居時期が遅れるなど、売主に過失のある契約違反が発生した場合、契約の解除が可能な場合があります。 また内容によっては違約金もしくは損害賠償の請求が可能な場合もあります。
(3)危険負担
地震などの天災により引渡しが困難になった場合、売主買主双方の話し合いにより契約を解除する場合があります。この場合、手付金は全額返還されます。
(4)特約に基づく解除
住宅ローンを利用する買主が、契約後のローン審査の結果、融資承認が下りなかった場合に契約を解除できるという特約を付帯していおけば、契約を解除し手付金の返還を受けることができます。
バブル期には買い替えの特約として、もし自宅が売却出来なければ、買いの契約も白紙解除できるという特約がありましたね。買い替えを考えている人にとってはありがたい特約ですが、今、このような特約を付けて契約することはほとんどありません。例え自宅が売れなくても買いの契約は有効というのが、取引上当たり前になっています。
契約の解除関係のチェックポイント
1.契約解除に関する条文の内容は適正か?
2.特約による解除の場合、買主にとって不利な内容か?
契約の解除等には種類があります。
(1)停止条件付きの契約
その条件が成就した時、はじめて契約の効力が生じる契約のことを意味しています。つまり、条件成就までは、契約が成立していないことを表していますから、当然に「契約の解除」といった行為は発生しません。
この種の契約としては、「建築条件付売地」の売買契約や「法令上の許可を前提とした売買契約」などがあります。
(2)解除条件付きの契約
その条件が成就した時、契約の効力は失われることを意味しています。つまり、条件成就までは契約が有効に成立していることを表していますから、万一条件が成就してしまった場合には、条件が成就した時点で、契約は当然に効力を失うことになります。
この種の契約としては、『ローン特約』が該当します。
(3)解除権留保型の契約
ある事実が生じたとき、契約を解除するか否かについて、解除権を留保している者の選択に任せるという内容の特約です。
この場合、解除権を留保している者が、その権利を行使して、はじめて契約の効力は消滅します。
この種の契約としては、『ローン特約』が該当します。
例えば、「・・・の場合、買主は解除することができる」とした特約条項を明記した場合、買主からの明確な意思表示がなければ、たとえ住宅ローンが否認されたとしても、期日以後も契約は失効しません。
そのため、トラブルを避けるために、買主の意思表示を行う場合には、内容証明郵便や解約合意書の締結等の確実な手段を講じることが肝心ですね。
万一、契約の解除を行うような事態に陥ってしまった場合には、必ず書面をもってやりとりを行うことが肝心です。絶対に口頭での取り決めをしてはいけません!
また、契約が解除された場合、契約は当然に効力を失いますから、売主・買主の両当事者間で授受された手付金等の返還のみならず、契約時に支払った仲介手数料があれば、それも返還を受けるなど、速やかな対応を不動産会社へ求めましょうね。
なお、購入した住宅に万一、欠陥が見つかった場合の措置(瑕疵担保責任)についても、契約の解除と同様に必ず確認しておきましょう。売主が個人の場合と宅建業者の場合では、そのルールが異なります。
