生活関連、その他の事項
重要事項説明書には、権利関係や法令制限など、これから住宅を購入する上で重要な内容が多く記載されていますが、特に購入後の生活に密着した部分として重要なのは、「生活関連施設」や重要事項説明書の最後にある「備考」に書かれた部分と言えるでしょう。
しかし、こうした生活関連施設は所有者(売主)でなければ分からないことも多く、物件を調査する時点で調査漏れが起こりやすいと言わざるを得ません。
また、重要事項説明書の最後にある「備考」の欄は、特に「何を書かなければいけない」といった明確な決まりがありませんから、重要事項説明書を作成する担当者の注意力と物件を見る洞察力、取引経験などが大きく影響する部分なんですね。
生活関連施設について
生活関連施設として説明を受けるものは、「飲用水・電気及びガスの供給並びに給排水の整備状況」についてで、現に使用可能な施設、または将来にわたり整備が予定されている施設について明確にすることが目的となっています。
給水施設
給水施設については、「水道(公営又は私営)」か「井戸」かの別について「給水分岐管管理図」で調べたものを重要事項説明書に明記することになっています。もし、給水施設が私営水道や井戸になっている場合は、その水質検査の状況についても確認しましょうね。
また、築年数が古い中古住宅を購入する場合で、古い水道管がそのまま埋設されている物件では、その配管口径にも注意が必要です。
最近の給水設備等では、20o以上の口径をもつ水道管の設置が望ましいとされていますので、古い設備に見られるような13o管が埋設されているようであれば、将来にむけて引きなおしが必要になる可能性が高いんです。
もし、引き込み管に設置されたメーターが13o用になっているだけならば、メーターの交換だけで済む場合もありますが、道路に埋設された本管からの引き込みをし直す場合には、相当な費用負担が発生しますからね。
なお、敷地内の水道配管図(または写し)の取得をする場合には、所有者(売主)の委任状が必要になりますので、注意をしましょう
ガス施設
ガス施設については、「都市ガス」か「プロパンガス(個別または集中)」かの別について確認します。集中プロパン供給方式の場合、現地にガスボンベが設置されていないので、都市ガスと間違えているケースも見受けられますので注意が必要ですね。
また、カロリー数によって使用できるガス器具が異なる場合もありますので、注意しましょう。
なお、現状で使用しているガス施設がプロパンガスだった場合、屋内配管の所有権者がLPガス販売業者である場合が考えられますので、注意が必要です。
将来、設備の修繕や都市ガスへの変更等においてトラブルが生じることも予想されますので、所有権の有無は必ず確認するようにしましょう。
排水施設
排水施設の調査では、「公共下水」か「浄化槽(個別又は集中)」かの別と、「汚水や生活雑排水」と「雨水」の分流の有無を確認します。
もし、浄化槽を使用している場合には、そのメンテナンス方法、周期、費用等について確認をしましょう。
なお、敷地全面の道路に公共下水が整備されているにもかかわらず、浄化槽を使用しているといったケースも見受けられますので、対象物件の排水施設が浄化槽である場合でも、公共下水の整備状況について確認しておくほうがいいですね。
電気施設
電気施設の確認では、その容量に注意が必要です。
なぜなら、戸建住宅であれば個人の申請によって容量を大きくすることもできますが、マンションなどの区分所有建物では、建物全体の容量が決まっているため、専有部分の容量を個々に大きくすることが出来ない場合があるからです。
もし、購入する専有部分の電気容量が小さい(30A程度)場合には、容量の増加が可能か否かについて管理組合に確認をしたどうか聞いておく必要がありますよ。
地中埋設管における注意点
給水管や配水管、ガス管といったものは、地中に埋設されているため、何らかの問題が生じると、その解決には多額の費用がかかる場合もありますので、しっかりと配管図などで整備状況を確認しておくことが大切です。
他人の敷地内を配管が通っている場合
敷地内に配管されている水道管やガス管が、隣接する他人の敷地内を通って配管されていないかどうか、また、逆の場合として、隣接する他人の配管が自己の敷地内を通っていないかどうかも十分に注意をする必要があります。
もし、配管が越境しているような場合には、あらためて道路にある本管から引きなおしの工事をするなどの対策が必要になります。この際にかかる費用は高額になることが珍しくないため、取引前のしっかりとした確認が求められます。

前面道路の配管が私設管の場合
対象の敷地が公道に面している場合には、公営のものと推察することができますから、権利上での問題が発生する恐れはほとんどありませんが、敷地と配管の位置関係で、道路の掘削工事を行う際にかかる費用は相当に違ってきますから、注意が必要です。
一方、私道に埋設された配管は、私道所有者が自ら配管した私設管である場合が多く、この私設管を利用するには、所有者全員の承諾や使用料が生じる可能性があることを知っておきましょう。
(※私設管とは、一般的に管の所有者または管理者等が公的団体以外の場合で、私道に埋設された管に多く見られます。ただし、前面道路が公道であっても私設管である場合などもありますので注意が必要です。)
なお、既存の私設管の使用承諾が得られず、新たに自分専用の私設管を配管する場合、今度は、私道の所有者全員から「道路の掘削工事に関する承諾」を取り付ける必要があります。

敷地の前面道路に本管敷設がない場合や、本管から敷地内への引き込み管がない場合、あるいは、将来にわたり配管の引き直しが必要と認められるような場合などには、道路を掘削する必要が生じますが、その際、道路の掘削工事等にはその距離や配管の深さに応じた費用が生じるものです。そして、この費用は多額となることがあります。
したがって、配管状態を確認する上では、単に配管の有無を確認するに留まらず、その配管の敷地に対する位置(敷地寄りか、反対側の敷地寄りか等)にも注意が必要ですね。
その他の重要な事項
越境物がある場合
建物や樹木等が境界線を越えて存する場合、その越境物に関して、隣接地所有者との間で何らかの取り決めがあるかないかなどを確認しましょう。
高圧線や古井戸
高圧送電線の下に取引の目的となる物件が存する場合、建物の建築等に関する制限を受けたり、電波障害を被る可能性がありますので、その旨を確認しておきましょう。
なお、送電線下にかからない場合であっても、電波障害等の被害が予想される場合もありますので注意が必要ですね。この場合、ケーブルテレビなどを使用せざるを得なくなる可能性があります。
また、敷地内に古井戸や、過去に使用されていた浄化槽などがある場合、埋めるためにはある程度の費用がかかりますから、注意しましょう。
嫌悪施設がある場合
火葬場、墓地、刑務所(少年院)、養豚場、鶏舎、飛行場(基地)、汚水処理施設、清掃工場などは、すべて嫌悪施設と見なされるため、物件周辺にある場合には、その旨を確認しましょう。
浸水被害の予想
多くの自治体では、ハザードマップを作成し、無料で配布していますから、大雨の際の浸水被害予想について、しっかりと確認しておきましょう。
近隣との間で協定等がある場合
取引の目的となる物件において、近隣の住民との間で協定などが締結されている場合、一般的にその内容は買主へ承継されることになるため、協定の有無と、協定がある場合の内容について確認しておくことが大切です。
マンション売買における管理費・修繕積立金
マンションの売買では、管理費や修繕積立金の滞納有無を確認しましょう。
万一、滞納されたまま所有権が移転されると、買主がそれを引き継ぐことになっていまします。
特定保守製品
「消費者生活製品安全法」の一部が改正され、日常使用しているさまざまな製品のうち、平成21年4月1日以降に製造・輸入される特定保守製品9品目(製品に特定保守製品と表示され、所有者票が添付されます)が設置されている住宅については、宅建業者による一定の説明義務が課せられました。
上記以外にも、「権利関係」「道路の種類」、「敷地と道路の関係」、「建ぺい率・容積率」など、重要と思われる項目はたくさんあります。
ところが、こうした重要事項にかかわる内容は、その調査を担当した者の調査能力が大きく問われる部分であり、必ずしも十分な記載がされているとは限らないのです。
そこで、自分なりに気になる点などがあれば、積極的に質問し、改めて調査をしてもらうことも必要ですよ。
