不動産所得とは
所得税法では、個人が得た所得を10種類に区分してから課税を行っています。その内の1つが、不動産所得です。
この不動産所得とは、土地や建物等の貸付、地上権・借地権等の不動産の上に存する権利の貸付、船舶・航空機の貸付による所得のことを意味しています。
なお、不動産所得では、その事業規模は問わないため、例えばワンルームマンション一部屋の貸付でも、不動産所得となります。
不動産所得に区分されない不動産の貸付
不動産の貸付であっても、以下のようなケースでは、不動産所得に区分されません。
| 貸付の状態 | 判断基準 | 所得区分 |
| 賄い付きの不動産貸付(下宿など) | 事業的規模 | 事業所得 |
| 事業的規模未満 | 雑所得 | |
| 土地の貸付時に受取る権利金 | 時価の1/2超 | 譲渡所得 |
| 時価の1/2以下 | 不動産所得 | |
| 時間貸し駐車場など | 事業的規模 | 事業所得 |
| 事業的規模未満 | 雑所得 | |
| 社宅や寮(会社の福利厚生として) | 事業所得 |
※以下の基準を満たした場合、一般的には事業的規模と判断されます。
貸間、アパートなどについて・・・ 概ね10室以上
独立家屋の貸付・・・ 概ね5棟以上
不動産所得の金額
不動産所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いたものとなります。
不動産所得の金額=総収入金額−必要経費
総収入金額
必ず売上として計上しなければならないもの
- 賃貸料(家賃や地代)
※支払日が約定している場合、未収であっても売上として計上します。 - 権利金(土地時価の1/2以下)、礼金
- 契約の更新料
返還する必要がない場合のみ、売上計上するもの
- 敷金
- 保証金
必要経費
主な必要経費は、貸付不動産等の修繕費や地代・家賃、租税公課、減価償却費、損害保険料、管理費、借入金の利子、仲介手数料などがあります。
租税公課
- 収益不動産購入時にかかる印紙税、不動産取得税、登録免許税
- 貸付時の不動産にかかる固定資産税、都市計画税
借入金利子
- 収益不動産の購入資金として金融機関から借り入れをした場合、その借入金利子
※ただし、新たに購入した不動産にて、賃貸開始前に発生した利子は、取得価格に算入する。
減価償却費
- 建物等、減価償却資産の償却費
※平成10年4月1日以降に取得した建物の減価償却費は、定額法にて計算をする。
※平成19年4月1日以降に取得した場合、残価設定を行わず、1円まで償却を行う。
青色事業専従者給与(事業専従者控除額)
- 生計を一にする配偶者やその他親族が管理業務などに従事している場合の給与
※建物の貸付が事業的規模で行われている場合に限る。
| 青色申告者の場合 | 青色事業専従者給与 →支払った給与の相当額 |
| 白色申告者の場合 | 事業専従者控除額 →専従者1人につき50万円/年 →配偶者は86万円/年 |
不動産所得の損失
不動産所得は総合課税の対象となっていますから、賃貸経営を営む上で、赤字経営の場合に生じる所得上の損失は、原則として会社員が受取る給与所得など、他の所得と損益通算を行うことができます。
したがって、給与所得に対して源泉徴収された所得税が納め過ぎたことになり、確定申告によって所得税の還付を受けることが可能となります。
ただし、不動産所得の損失額のうち、土地の取得にかかる借入金利子相当額は、他の所得との損益通算を行う際の対象となりませんので注意が必要です。
Case:損益通算の対象となる損失額
土地・建物を銀行から資金借入をして購入した場合…
| 総収入金額(賃料) | 600万円 |
| 必要経費 | |
| 土地取得分の借入金利子(A) | 200万円 |
| その他の必要経費 | 500万円 |
| 収支(B) | ▲100万円 |
不動産所得としては損失が生じているので、他の所得と損益通算ができるように思うが、(A)>(B)であるため、損失額の全額が、他の所得と損益通算できない。
なお、借入金と自己資金で収益不動産を購入した場合では、借入金のうち、いくらを土地取得に充てたのか、判断がつきません。
そこで、土地取得分の借入金利子が不明な場合には、まず建物の購入代金として借入金が充当されたものとみなして計算します。
| 土地取得に係る 借入金利子 |
=年間の支払利子× | 借入金総額−建物取得費 |
| 借入金総額 |
